• トレンド・オブ・インテリア 2013-2014

    アート作品として楽しめる照明

    ミラノ・サローネ2013「moooi」のブース 次に紹介するのは、2013年のミラノ・サローネでも大きな展示を行った、オランダのブランド「モーイ」である。これまでもアート性の強い個性的な家具が多く発表されてはいたが、特に照明のデザインに目立つものが多かった。ヨースト・ファン・ブレイズワイクがデザインした建築物の構造体のような姿のフロアランプや、ロレンツァ・ボッツォーリがデザインした日本の芸者からインスピレーションを得たペンダントランプ、新たにカラフルなピンク色などがラインナップに加わったスタジオ・ヨブのデザインしたシャンデリアなど、どれもが個性の際立った製品となっている。照明のデザインに関しては、白熱灯やハロゲンランプ、蛍光灯に加え、LEDや有機ELなど、光源に選択肢が増えてきていることもデザインの多様性が増した要因といえる。
    他社の照明に触れてみると、これまでになかった照明として挙がる代表的な製品は2つ。イタリアの「フロス」でフランスのロナン&エルワン・ブルレックがデザインした「AIM」と、2013年のメゾン・エ・オブジェで発表された井上隆夫デザインの照明「TAMPOPO」だ。「AIM」は、通常のペンダントランプの形状を踏襲しながらも、長い電源コードを操り設置場所やシェードの角度を自由に調整できる。旧来は単純に邪魔なだけの存在として認識されていたコード自体を、空間を設えるうえでのアクセントや面白みとして捉え直したことが画期的であった。すでに都内のインテリアショップにも展示されているので、製品を目にしている人も多いはずだ。
    井上隆夫の照明「TAMPOPO」は、光源に有機ELパネルを採用している。アクリルの塊の内部に本物のタンポポの綿毛がそのままの形で封入されており、下部の台座に組み込まれた有機ELパネルからの光で綿毛が照らされるという仕組みだ。部品として非常に薄く機器内部に落とし込みやすいうえ、高い熱を発さず目に優しい光を演出できるという、有機ELパネルの特性を最大限に生かしたものである。まだ試作品としての発表ではあったが、オブジェとしても非常に美しく海外からの評価も高い。有機ELに関してはまだまだ一般の家庭まで普及するのに時間はかかるだろうが、目が離せない分野であることは確かである。

     

    AIM (Ronan & Erwan Bouroullec) AIM (Ronan & Erwan Bouroullec)
    ブルレック兄弟がイタリアの照明メーカー、<フロス>
    から発表したランプ。天井に専用のローゼットを取り付け、長いコードを自在に調整してシェードの角度や高さを設定できる。写真はシェードが3つだが1つからでも購入できる。ほかにブラック、ポリッシュのシルバー色も選べる。
    日本フロス ☎03-3582-1468

     

     

    TAMPOPO (井上隆夫) TAMPOPO (井上隆夫)
    アクリルの塊に本物のタンポポの綿毛を閉じ込めたオブジェを、有機ELパネルを使って照明として発表したもの。デザインを手掛けた井上隆夫は、映画や映像作品を撮影するカメラマンでありながら、光やデザインに対する深い探究心からデザイナーとしての活動を開始した。
    SOMEWHERE>>

     

     

    Juuyo (Lorenza Bozzoli) Juuyo (Lorenza Bozzoli)
    芸者の頭のようなフォルムの陶製シェード内部に、鯉や桃の花のグラフィックをプリントした、東洋的な雰囲気の漂うペンダントランプ。ミラノ出身の女性デザイナー、ロレンツァ・ボッツォーリが「モーイ」でデザインしたもので、キャノピーが陶製なのも特徴。全2モデル揃う。
    トーヨーキッチンスタイル東京

     

     

    Paper Chandelier Paper Chandelier Pink (Studio Job) Pink(Studio Job)
    スタジオ・ヨブのデザインした大きな紙製のシャンデリアは、「 モーイ」を代表する照明のひとつ。新たなバリエーションとして加わったのがこのピンク色だ。ひとつあるだけで空間の印象を劇的に変える存在感は、まるでパブリックアートのようでもある。
    トーヨーキッチンスタイル東京 >>

     

     

     

    Construction Lamp (Joost van bleiswijk) Construction Lamp(Joost van bleiswijk)
    2013年のミラノ・サローネでの「モーイ」の発表では照明のデザインに秀作が多かった。中でも目立っていたのが、ヨースト・ファン・ブレイズワイクのフロアランプ。建築物のような本体は鋳造アルミの部品で組み上げられ、真鍮製のネジで留めて連結してある。3サイズが揃う。
    トーヨーキッチンスタイル東京 >>

    Text by
    川合将人 KAWAI MASATO
    インテリアスタイリスト
    東京都出身。インテリアショップ勤務を経て独立。
    住宅メーカーのモデルルームの内装コーディネートや展示イベントの会場構成のほか、雑誌やインテリアショップのカタログ、広告などでスタイリング業務を行う。
    www.kawaimasato.com

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