• トレンド・オブ・インテリア 2013-2014

    20130722-GERVASONI- Catalogo BRICK 2013

    ショップとともに進化するインテリアの楽しみ方
    では最後に新規オープンしたショップを取り上げながら、これからのインテリアについて考えてみたい。まずは表参道にショールームをオープンしたイタリアの家具ブランド「ジェルバゾーニ」を紹介したい。ブランドのディレクターとして製品デザインを手掛けているのは、パオラ・ナヴォーネという女性デザイナーだ。「ジェルバゾーニ」の家具デザインの特徴は、異素材のミックスである。多様な木材に金属、石、セラミックなど、家具を構成する素材が多彩を極めている。椅子やソファの張り地として選択できるテキスタイルの種類が非常に多いのも魅力であるが、照明や屋外家具なども揃うコレクションの幅の広さは、種類は違えど「HAY」とも共通するものが感じられる。一見しただけでは、同一のブランドの製品だとは思えないような色や素材の折衷。バラバラのように見えてテキスタイルの色や素材を組み合わせ、独自のスタイリングに昇華させる高度なミックス・スタイルの提案がなされているのだ。日本にショールームが誕生したことから、「ジェルバゾーニ」に代表されるミックス・スタイルはより身近になったといえるだろう。

    GERVASONI
    イタリアの家具ブランド「ジェルバゾーニ」のBRICKシリーズの家具でコーディネートされた写真。左奥の収納「Brick 69」の扉はテキスタイル仕上げ。右のダイニングテーブル「Brick 33」の脚には皮を剥いたライティアの木の幹を使用。多様な素材の組み合わせが魅力だ。
    GERVASONI TOKYO >>

     

    DEMODE BISHOPDEMODE BISHOP
    広い店内に並ぶ家具は、一見するとヴィンテージ品に見えるがほとんどが緻密なエイジング加工が施されたショップのオリジナル製品で、サイズオーダーなどの特注にも対応してくれる。インテリアショップにはあまり並ばない、ドアハンドルなどの部材が見られるのも特徴。
    DEMODE BISHOP ☎03-6809-3830

     

     

    DEMODE BISHOP そしてライフスタイルショップの進化系として触れたいのが、ヴィンテージの家具ショップとして数多くの店舗展開を行う「デモデ」が芝浦にオープンさせた新ショップ「デモデ・ビショップ」。近年の傾向として続いていたDIYによるセルフ・リノベーションやカスタムによって消費者が自由にインテリアを楽しむトレンド傾向を、最もわかりやすく提案している例といえる。扱うのはステーショナリーやタオルなどのデイリーユースの日用雑貨やオリジナルの家具に加え、扉やタイルなどの内装材、洗面台にトイレなど、まさに多種多様。ドアハンドルなどの部品まで網羅しているのだ。倉庫のように大きな売り場面積をフルに活用し、インテリアにまつわるすべてがカスタム可能であるというディスプレイの仕方が新鮮であり、センスのよいホームセンターのような印象も受ける。物品の販売店という範囲だけに留まらず、消費者が住宅にまつわるすべての相談ができる、頼れる存在としての価値が見受けられるのが特徴だ。都内でも増加傾向にあったライフスタイルショップだが、「デモデ・ビショップ」を筆頭に、他社にはない製品群やサービスでの差別化が進んでいるように見える。
    80年代のビビットな色使いのテキスタイルに、カジュアルであたたかみのある“ウッド&カラー”の家具。内装材を含めて色や素材を折衷して楽しむミックス・スタイルのスタイリング。選択肢はより多くなり、消費者が思い思いにインテリアを作る楽しみが味わえる環境が整ってきたといえる。インテリア製品もファッションと同じような感覚でとらえられるようになったのではないだろうか。難しく考えることなく、好みの洋服を組み合わせるように家具を選ぶのが今流なのだ。

     

    Text by
    川合将人 KAWAI MASATO
    インテリアスタイリスト
    東京都出身。インテリアショップ勤務を経て独立。
    住宅メーカーのモデルルームの内装コーディネートや展示イベントの会場構成のほか、雑誌やインテリアショップのカタログ、広告などでスタイリング業務を行う。
    www.kawaimasato.com

     

     

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