トレンド・オブ・インテリア 2013-2014
The Trend of Interior
2013-2014
世界のトレンドと
国内のショップから読み解く、
これからのインテリア
インテリアショップからライフスタイルショップへの移行。これまでに家具や雑貨のみを販売していたショップが、衣食住を包括する総合的なライフスタイルショップへと変化を遂げている近年。デイリーユースの日用品に加え、建具などの内装部品に洋服、食材、ガーデニングツールなど、セレクトやオリジナルで展開する商品に各ショップ独自の個性が見られるようになり、その傾向はさらに進んできている。一方で世界のインテリア・トレンドを眺めると、多彩なラインナップ展開で話題を集める北欧ブランドの台頭や、デコラティブ回帰とも取れるオブジェのような照明を揃えたオランダのブランドの活躍が目立っていた。今回は代表的な家具ブランドの傾向と、デザインの自由度を増した照明製品の代表作や活躍の目立ったデザイナーの家具、都内のインテリアショップの動向を振り返りつつ、2014年以降のこれからのインテリアを考察していきたいと思う。
Text by MASATO KAWAI
80年代のデザインを取り入れた「HAY」の新コレクション
まずは近年のインテリアのトレンドを牽引しているブランドの展開を見てみよう。これまでの北欧の家具ブランドのイメージといえば、ハンス・J・ウェグナーやフィン・ユールなどの巨匠デザイナーによる名作家具が想起された。しかしデンマークのブランド「HAY」によって、その印象は変わりつつある。いまや「HAY」は、世界のインテリアのトレンドを牽引する存在なのである。昨年にはロンドンのデザインイベントで新たなブランド「ロング・フォー・ヘイ」を始動することが発表され、大きな注目を集めた。そのラインナップの中に、1980〜90年代に世界を席巻したポストモダンのデザインが登場していたことは見逃せない。
フランスのナタリー・ドュ・パスクエがデザインした、テキスタイルを使ったチェアやクッションだ。
彼女は1980年代に活躍したポストモダンを代表するイタリアのデザイングループ、メンフィスに参加していたことで知られるが、当時のデザインがほぼそのままのスタイルで製品に落とし込まれている。近年では、ファッション業界がトレンドとして80年代のデザインを取り入れることが目立っていたが、「HAY」はインテリアのブランドとしていち早く製品に取り入れたことになる。カラフルでビビットな色の組み合わせを用いた商品群は、80年代の色遣いを取り入れたトレンドとして今後も普及していくだろう。
curve chair ice fabric (Wrong for HAY)
2013年のロンドンデザインウィークでの「ロング・フォー・ヘイ」の展示風景。クッションと同様の生地を使用したチェアも発表された。左のスツール上に置かれた照明は、オランダのベルトヤン・ポットのデザイン。デンマークのブランドだが起用するデザイナーの人選はワールドワイドだ。
HAY JAPAN☎03-6438-9341
Fabric Cushions (Wrong for HAY)
2013年のロンドンデザインウィークで発表された「HAY」の新ブランド、「ロング・フォー・ヘイ」に登場したのが、ナタリー・ドュ・パスクエのデザインしたグラフィカルで色鮮やかなテキスタイル製品。コーディネートに取り入れやすいクッションは数多くのパターンが揃う。
HAY JAPAN☎03-6438-9341
Text by
川合将人 KAWAI MASATO
インテリアスタイリスト
東京都出身。インテリアショップ勤務を経て独立。
住宅メーカーのモデルルームの内装コーディネートや展示イベントの会場構成のほか、雑誌やインテリアショップのカタログ、広告などでスタイリング業務を行う。
www.kawaimasato.com
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